2019.12.14 山を守ろう! 自然災害と倒木処理(定例)
今年最後の定例活動。台風の風と大雨で起きた倒木によって寸断された作業道の復旧に向かいました。
山を守ろう! 自然災害と倒木処理
今年最後の定例活動です。冬場は路面凍結して環境保全地域へ入れなくなるので、今年度最後の環境保全地域での活動になります。
準備
いつも通り駅前に集合して拠点に移動。装備と使用機材を準備。専用倉庫、うれしいですね。まだまだ余裕があります。
本日の使用機材。
倒木処理と道補修をするので、30mロープ2本に唐鍬が加わります。
ミーティングで作業内容を説明。倒木処理と道補修。いつものことだなとこの時は思っていましたが…
装備を持ったら車に分乗して入山口まで移動です。
洗屈法面と陥没
拠点横では相変わらず交通規制。一般の自動車の通行は難しそうです。ただ、私たちの活動の趣旨は分かっていただいているようで、「十分気を付けて」と念を押されたうえで通行させていただけました。
道の先には、陥没した路面があります。
警察の方もそれを心配しているようです。
現場に着くと、黄色のテープで侵入できないようになっていました。
写真はガードレールの外側から撮ったものです。洗掘部は見えません。少し離れて確認すると…
アスファルトの下が空洞です。小型の自動車なら避けて通れますが、バスやトラックは危険です。
ここはそもそも車通りのほとんどない場所。復旧は後回しにならざるを得ません。来年のグリーンシップアクションや里山へGO!が心配です。
入山
いつもの通り準備体操をしてから山に入ります。
山はいつも通り静かですが、ところどころ台風の爪痕が残っています。
入山口から林道坂に向かう道ですが、山側の斜面が削られ、木の根っこが露わに。
道の山側に生えている木は軒並みこのような状態です。
根の下までえぐられています。
山側も削られた形跡があります。谷に向かって倒れてきそうです。
落石しそうです。
根が寸断されています。下を支えていた岩が滑り落ちたのかもしれません。
ありました! ツルリンドウ。
小さい植物たちは無事です。
もし、下草や灌木などの下層植生が茂っていれば、ここまで土がえぐられるようなこともなかったのかもしれません。
被害状況の確認
スミレの道とコナラの道の分岐点に到着。小休止をとって作戦を練ります。
いったん荷物を置いて活動区域を巡回することになりました。
スミレの道を進んでいくと、ありました。これが今回の目的。倒木によってスミレの道が寸断されています。途中の木に枝が絡んでこれ以上動かなくなっていますが、放っておくわけにもいきません。
さらに行くと土砂や流れてきた枝で道標が倒れ掛かっていました。
ここは、かつて作ったツリーハウスのあった場所です。
枠しか残っていません。丸太が積んであったらしいのですが、谷へ流されていったようです。
これは、炭焼き窯の名残り。
石が積んであるのがわかりますか?
尾根筋を巡回すると、引っかかったままの倒木。
尾根は風の影響をもろに受けます。
こんな物体を発見。
コケのようですね。これが成長すると...
になるのかな(笑)
作業開始
起点まで戻ってきて作業開始です。
現場はこのようになっています。
スミレの道を遮るようにサワラの大木があり、くぼみに大木がはまり込むようになっています。もともと沢の様にになっていたのかとも思いましたが、スミレの道はつながっていたはずなので、大木が滑り落ちてきて道と斜面をえぐったと考えた方がよいでしょう。
上を見ると...
地滑りのような跡がありました。
おそらく、入山口で見た山側の木のような状態で谷側の根元の土が削られ、支えを失って山側に倒れつつ滑り落ちて斜面を削ったものと予想されます。
入山口にあった無数の根元をえぐられた木々。同じように滑り落ちてくるのは時間の問題でしょう。そのたびに地面を削り、表土が流出し、周りの植生を巻き込んで森が痩せていきます。
やがて森林の持つ土壌保全・土砂災害防止機能や水源かん養機能が失われ、ふもとや川の下流域に災害を発生させます。
今回の台風で、多摩川の下流域で大氾濫があったことは記憶に新しいと思います。
人の手が入れば滑り落ちる前に伐採して表土の流出を防ぐことができたでしょうし、地面に光が当たるように間伐して下層植生を増やし根元が削られるのを防げたかもしれません。
気付いている人は少ないと思いますが、切実な問題なんです。
さて、作業ですが、
途中の木にロープを掛け、滑り出すのを防止します。
次に絡んでいる枝を落とします。滑り落ちないように支えになっている枝もあるので、木の重さと斜面の方向を計算しながら慎重にやります。
枝打ちの目途がついたら、下の部分から玉切り。
ところがこれが...
「なんだこれ!」
まったく鋸が進みません。サワラってこんなに硬かったっけ???
いつものように横になっている木を切るのとは違って、重さが切り口にかかっているものだから鋸が進まないのかもしれません。
ようやく、切断完了。
そして、こいつをそのまま寸断された道までおろして道をつなごうという算段です。
が、乾燥していない木はかなりの重量。重機を持ち込めない私たちは滑車とロープと人海戦術が手段です。
転がり落ちないように引き上げながら滑車を使って引きずります。
少し下がりすぎてしまったようで、滑車をつなぎなおして再挑戦。
次々と丸太を道までおろしていきます。
隙間を埋めて馴らします。
ほぼ完成です。
文章だとさらっと終わりますが、これが意外と大変でした。
今年最後の活動が倒木処理というのもなんかなぁ...。ということで、おまけの間伐。
そして下山しましたとさ。
おまけ
今年最後の活動が終わったということで、個人装備の総点検。
私は今年4月から入会したのですが、「あったらいいな」的なものをそろえていったら、いつの間にかこんなに増えてました。
この前、近所の神社で倒木処理の業者さんに遭遇したのですが、装備を見せてもらったら、「その辺のホームセンターで売ってるやつですよ」と。
まぁ、「モノ」じゃないってことでしょうね。
でも道具がよければ下手さ加減も多少は誤魔化されるでしょうから(笑)
ということで、春まで大事に保管っと。